解く前に、問いを立て直す
最も効果が大きい一手は、たいてい依頼文より上流にあります。ASUSでは、共創の前に社内の合意形成を差し込んだことが、プロジェクト全体が出せる成果を変えました。
ASUS Think Nextプロフィール
劉巽婷(Hsun-Ting Liu)と申します。ストラテジック/サービス デザイナーです。仕事の形はいつも同じで、多くの人が依存している 複雑に絡んだものを、実際に使えるかたちへ組み直すこと。 リサーチから始め、実装されるところまでを射程に入れています。
現在:ニューヨーク在住。Parsons School of Design 修士課程(Strategic Design & Management、Civic Service Design副専攻)2026年5月修了。創業100年を超える日本の調理器具ブランドの 米国市場参入を、契約ストラテジックデザイナーとして支援しています。




最初の仕事は、東京の監督と台湾のVFXアーティストのあいだに座って、 テレビシリーズをカット単位で、二つの言語で進行させることでした。 壊れるのは技術ではありません。二つのチームが同じ言葉で違うものを 指していて、その隙間を誰も持っていない。それが壊れるのです。
以来、同じ隙間を、規模だけ大きくしながら扱ってきました。 台湾デザイン研究院では、国内最大の産学連携デザイン プラットフォームYODEXを4事業年度・43社とともに主導しました。 仕事は商品をデザインすることではありません。企業と学生チームが、 ひとつのものを世に出せる程度に互いを理解できる—— その条件のほうを設計することでした。
そして、その立場を降りて、何の実績も通用しない場所で同じ仕事を することにしました。2024年、ニューヨーク、Parsons。それからは、 ラグジュアリーブランドのキャビネットリー事業、ホームレス状態にある 人々への衛生サービス、そして創業100年を超える日本の鍛冶工房の 米国市場参入。最後のひとつは、日本語で。
三つの国、三つのセクター、ひとつの問い。 私は翻訳の側を選び続けています。

最も効果が大きい一手は、たいてい依頼文より上流にあります。ASUSでは、共創の前に社内の合意形成を差し込んだことが、プロジェクト全体が出せる成果を変えました。
ASUS Think Next人が協働するのは、システムがそれを容易にしているときです。YODEXが改善したのは「もっと協力してください」と言ったからではなく、課題設定・マッチング・翻訳役という条件を設計し直したからでした。
YODEX抽象的な価値は、オペレーションとの接触に耐えて初めて意味を持ちます。見える待機列、荷物を置く棚、実際の労力に見合う報酬。尊厳はそこにしか宿りません。
Beyond the Shower数十社のデザインプログラムを回して分かったのは、企業ごとの隔たりの 大きさでした。同じ提案が、ある企業には自明で、別の企業には 読み取れない。だから相手がいま立っている段を読み、 そこから一段上がる動きを設計します。
デザイン駆動のイノベーション。見た目ではなく、 その事業がどの課題を引き受け、どう意思決定するかを デザインが形づくること。

ASUS役員が5つの優先課題へ収斂したセッション。YODEXでの30回以上。火曜シフトのHarlem Unitedスタッフと。

キュレーター、エンジニア、パッケージデザイナー、VFXアーティスト。デザイナーだけの部屋で働いたことはほとんどありません。

プライバシーをデータモデルに書き込んだ待機列アプリ。博物館コンテンツを運ぶ投影技術。2025年からはAI支援のリサーチ統合。

JLPT N1、日本語・日本文学の学士、東京での交換留学1年。現在は創業100年を超える鍛冶工房と日本語で協働中。

台湾の国家循環デザインガイドライン共同執筆。国のプログラムの4ヶ年戦略。YODEX産業フォーラム登壇。